コラム

ますます高まる見える化の重要性

2020.10.6

人事・人材開発

株式会社 日本能率協会コンサルティング
チーフ・コンサルタント
奥野 陽

コロナ禍のなかで、多くの企業で在宅ワークが進められるようになってきました。

在宅ワーク環境下で、安定して成果をあげられる社員ばかりであれば問題ありませんが、実際はそうではありません。やはり、慣れない在宅ワークで疲弊したり、思うように成果があげられなかったりといった状況が発生します。

一方、在宅ワークを進めるなかで「社員の負荷状況や、能力、特性がみえづらくなってきた」ことが指摘されるようになってきました。

直接顔を合わせることが少なくなり、日常のコミュニケーションが行いづらくなった結果、負荷状況や成果に至るまでの過程、成果をだすために保有しているスキルや仕事への取組み意欲等が、管理職から把握しづらくなってしまっています。

これに対して、負荷状況に応じた業務分担の見直しや、成果がでない社員への適切な指導、啓発等を行なおうとしても、社員の状況が把握しきれておらず情報が少なくなってしまっているため、なかなか検討しきれない状況に陥る管理職が出てきてしまったのです。

こうした状況に対応するため、また今後のリスクに備えるために、人事部門は、これまで以上に「見える化」を進め、管理職に情報を提供することが求められるようになると考えられます。そうしないと、情報が少なくなった結果として、現場のマネジメントやひいては経営の意思決定を誤る可能性が高くなっているからです。

しかし、人事部門でも、こうした状況のなかで、「見える化」を円滑に進めることは容易ではありません。

そのため、今後取り組むべきことの第一は、すでに保有している情報を整理することです。社員のこれまでの成長履歴、スキル保有状況、評価結果等を収集し、保有している情報をデータベース化します。そうすることで、管理職に提供できる有用な情報を検討するとともに、不足している情報も検討することができます。不足している情報をすぐに収集することは困難かもしれませんが、優先順位をつけながら、情報収集の方法を検討することもできます。

このように、現在の状況や今後の見通しを踏まえたうえで、今この時期に、更なる人材の「見える化」にできるところから取り組まれることをお勧めします。

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